歯医者が考える正しい歯医者の選び方（審美歯科編）

審美歯科とは「銀歯などの代わりに白い被せ物をかぶせるだけの治療」ではありません。患者様のご要望、お口の状況やライフスタイル、外見のご希望,に合わせて見た目、耐久性に優れた新しい歯をご提案する治療です。審美治療でよく使用されるセラミックには見た目の綺麗さ、透明感、色のつきにくさ、歪みの少なさ、他の歯との隙間への汚れのつきにくさなどのメリットがありますが、他の素材に比べて接着剤が付きにくい、形が作りづらいなど担当する歯科医師が熟練者ではないと取り扱いが難しいというデメリットもあります。

セラミックを使用した審美歯科治療を受ける場合、上記のデメリット「接着剤の付きにくさ」と「形の作りづらさ」などを解決できる歯科医院、デンタルクリニックをお選びになることをおすすめいたします。
セラミックの扱いに長けた歯科医院の治療では銀歯よりも虫歯になりづらい状況を作ることも可能なセラミック治療ですが、治療の質によっては反対に銀歯よりも虫歯になりやすくなってしまう可能性もあります。

審美歯科治療に力を入れている歯科医院では、セラミックのデメリットである「接着剤の付きにくさ」と「形の作りづらさ」を解消するために、接着システム、接着剤、内面処理剤などのさまざまな素材にこだわって使用しています。品質の高い素材を利用するほど原価は高くなりますが、治療の精度は大きく異なります。さらにセラミック自体も、どこのブランドのセラミックなのか、どこの技工所で作成するのかによって、原価や精度、審美性に大きな差があります。そのため、他院と比べて明らかに安価な金額を提示しているクリニックにおいては安価な素材が使用されている可能性があることを念頭に置いておかれると良いかと思います。
また、治療後の保証制度も注目いただきたいポイントです。審美治療のほとんどは保険適用外の自費診療であるため、保険治療に比べて患者様の負担が高額になります。そのため、審美治療を得意とするクリニックは審美治療に対して保証制度を用意していることが多くあります。治療後に何度も治療をやり直す必要がない病院、つまりは技術力の高い歯科医院ほどしっかりとした保証制度を用意できるという点から、保証制度のしっかりした病院は審美治療を得意としている病院であるとお考えいただけると思います。
審美治療を受ける際には、治療にかかる金額が高い理由、安い理由をしっかりと把握したうえで治療を受けること、保証制度のしっかりした歯科医院で治療を受けることをお勧めいたします。
例えばほしいTシャツが隣同士の店のA店で15000円で売ってて、B店が13000円で売っているとします。この場合全く同じ商品なので安いという理由だけで、B店で買う方が多いと思います。
セラミックもこの考え方で選ぶ方がいらっしゃいますが、まずは何のセラミックで、どこの技工所で作られているか、どんな接着剤を使っているかによって原価が違い商品も全く変わってきます。Ｔシャツでいうと、どこのブランドで何のデザインで、何の素材でできているか、にあてはまります。
むしろ歯科の場合は、服みたいに有名なブランド名だけで値段があがることはなく、ブランドの差は、エビデンスやクオリティーの差につながっているので、より原価の差が品質につながっております。
例えば、セラミックインレーがA医院で50000円でＢ医院で40000円で治療をしていたとしても、これだけでは純粋にB店のほうが、お買い得とは言い切れないということです。A医院の方が、一見高く見えても価格から原価を引いた値が、B医院よりも安いかもしれません。
また医療の場合は、歯科医師が一人一人、歯を削るなどの手作業の治療をするので、技術力による差もとても大きく出ます。
高い値段設定だから、必ずいいセラミックを高い技術力で治療してくれるとは限りませんが、安いという値段だけで、歯科医院を選ぶのはリスクがあるといえると思います。